三原の野菜が人生を変えた!? ~彼女が三原で八百屋を始めた理由~
この記事は、2020年7月取材時点での情報です
【幸せづくり】
Bingo Sun Market
久木元留美(くきもと るみ)さん
JR三原駅前の商店街・マリンロードにある八百屋『Bingo Sun Market』。自らを“三原の野菜の応援団長”と称すのは、この店の店主久木元 留美(くきもと るみ)さんです。太陽のように明るくパワフルな女性。その元気の源は三原の野菜にあるそうです。
三原の野菜のおいしさに感動マックス!
「これはスイカキュウリっていうの。珍しいでしょ?サラダやピクルスにしたらおいしいですよ」。「この空心菜は高坂町の〇〇さんの所で獲れたもの。ごま油で豚肉と⼀緒に炒めて食べてみて」。「シソは水を入れた容器に漬けておくと日持ちしますよ」。久木元さんの明るい声が店内に響きます。
産地やこだわりの育成方法から食べ方、保存方法、ときには生産者さんの思いまで、野菜について楽しそうに話してくれます。
「以前は野菜にまったく興味がなく、ジャンクフードばかり食べていました。サトイモなんて冷凍しか使ったことがなかったんですよ」。
久木元さんが野菜を好きになったのは、8年ほど前に三原の野菜に出合ったことがきっかけでした。
夫の長期出張に合わせて、家族で兵庫県から三原市へ引っ越してきた時、JA三原が運営する「やっさふれあい市場」で買った野菜を食べてそのおいしさに衝撃を受けたそうです。
「大和町のレンコンは、包丁がスーッと入るほど柔らかく、中は透き通るように真っ白。小泉町のサトイモはツルンっと美しく、⾷べると甘くて。今まで食べていた野菜は何だったんだ。これが本物の野菜の味なんだと、感動マックスでした!」と声を弾ませます。
その日を境に、ほぼ毎日、三原の野菜を⾷べるようになったそうです。「引っ越してしばらく体調を崩した時期があったんです。でも三原の野菜を食べるようになって、細胞レベルで体が元気になっていくのを実感しました(笑)」と振り返ります。
自分がやらなくては!
三原の野菜に心を奪われた久木元さんですが、好きになればなるほど、疑問が沸いてきたそうです。
「三原にはこんなにおいしい野菜があるのに、どうして地元の人は他県の野菜を買っているのだろう」。「地産地消は進んでいるのかな?」。そんなことを考えているうちに夫の長期出張が終わり兵庫に戻ることになりましたが、三原の野菜を広めなければという使命感にかられ、子どもたちと三原に留まって地元の野菜を取り扱う八百屋をやろうと一大決心をします。
しかし、人脈や経験などノウハウをまったく持っていなかった久木元さん。取り引きをする農家を紹介してもらうことから始めました。
そして、農家さんへ飛び込み営業。「最初は不審がられました~(笑)」。しかし、持ち前の明るさと三原の野菜を広めたいという久木元さんの強い思いに触れて一軒一軒、徐々に農家さんが協力してくれるようになったそうです。
最初は、お店を構える資金を集めるために農家の皆さんの協力を得ながら、軽トラ市などでの出店を重ねていきました。そのうち徐々にお店のことを気にかけてくれたり、お店の手伝いに入ってくれる人も現れ2019年5月、念願の店『Bingo Sun Market』が開店しました。
三原は光輝く宝の山!
『Bingo Sun Market』で販売している野菜は、久⽊元さんが⽣産者と直接会い、育てている畑を⾒て「売りたい」と感じたものだけ。
⾃分を信用して店に来てくれるお客さんを⼤事にしたいとの思いから、信頼できる農家さんの野菜しか取り扱わないと決めています。
また、できるだけ、これから頑張っていこうとしている新しい農家さんから仕⼊れるようにしているそうです店で野菜が売れることが、応援することにもつながっているのです。「うちで販売している野菜がおいしい理由は、旬で新鮮なこと。化学肥料を使わず、じっくりと時間をかけて育てている野菜なので味が濃いのが特徴です。農家さんたちの⼈柄も魅⼒かな」。と自信を見せます。
「兵庫県から引っ越してきた⾃分にとって、三原は光輝く宝の⼭。素晴らしい農家さんがたくさんいて、おいしい野菜もいっぱい。市内の⼈はもちろん、県内外の⼈にももっと興味を持ってもらいたいです。いずれ地元兵庫に帰ることになるかもしれませんが、自分がいなくなっても三原の野菜を地元の人が楽しんでいるのが理想ですね」と話します。
そして『Bingo Sun Market』を拠点に、もっと三原の野菜のおいしさを伝えたいと計画中。「ニンジン堀りやイチゴ狩りなど、野菜の収穫体験も行っています。子どもたちの原体験として心に残り、その中から一人でも農家になりたいという子がでてきたらうれしい!」。
久木元さんが三原の野菜と出合ったことで人生が変わったように、彼女に巻き込まれて三原の町や人々も変わっていくのかもしれません。
※2020年12月をもって閉店いたしました※