食を通じて笑顔と健康を創る! 三原発の体験型八百屋へ
この記事は、2020年7月取材時点での情報です
【まちづくり】
体験型八百屋 COCOLA3(ココラサン)
森塚佳世子(もりつか かよこ)さん
2020年10月31日、広島空港の北側にある「空の駅オーチャード」内に「体験型八百屋 COCOLA3(ココラサン)」がオープンしました。オーナーを務めるのは、野菜ソムリエ・調味料マイスター・アスリートフードマイスターなど多彩な肩書きを持つ森塚佳世子(もりつかかよこ)さん。森塚さん、体験型八百屋って何ですか?
五感を刺激する八百屋が誕生!
「元気もりもり森塚です!もりもり~!」と満面の笑顔で迎えてくれた森塚さん。元気でパワフル、目の奥がキラキラと輝いています。オープンしたばかりの「体験型八百屋 COCOLA3」を早速案内していただきました。
「この辺り(ここら)で出来たものを販売するから、COCOLA3(ここら産)。3には「産」のほかにも、「3」坪の店内の広さ、「三」原という意味もあるんですよ」とのこと。3坪とのことですが、大きな木のオブジェが飾られた森の中を思わせる空間は、開放的で狭さを感じさせません。
「取り扱うのは、素材を大切にしていると私が感じたもの。オーガニック野菜と地域応援野菜が基本です」と森塚さん。では、体験型ってなんですか?
「例えば、畑でニンジンを収穫するとプチプチっと根っこが抜ける音と一緒に、土と根の香りが広がります。五感のうち、触れる・聞く・見る・嗅ぐの四つが感じられるんです。COCOLA3では、販売だけでなく、味噌作りや甘夏狩りなど、五感を刺激するワークショップを企画しています。三原で獲れる野菜の魅力は口で伝えるより、実際に経験してもらう方が分かりやすいですから。言葉ではなく体で知ってもらう感じかな」。
故郷・三原を食で盛り上げたい!
若かりし頃の森塚さんは地元である三原を魅力的と思うこともなく、高校卒業後、大阪の大学へ進学。そのまま大阪で就職し、結婚・出産・離婚の後、28歳の時に三原に戻ってきます。帰郷後、電子部品メーカーに入社しますが、仕事をこなすだけの毎日に疑問を感じ、「食に関わる仕事がしたい」と考えるようになったそうです。
生まれた時から八百屋が身近にあり、食べるのも料理するのも好きだった森塚さんは、31歳の時に、ダイビングで初めて訪れた沖縄の自然と人柄に魅了され「ここに住みたい!」と決心。東京に本社がある青果物商社へ転職し、沖縄支店の立ち上げを任せられました。商社在籍中に野菜ソムリエとなり、この時学んだのが生産者と一緒に盛り上げることの大切さだったそうです。この商社で10年働いた後、フレンチ店の立ち上げに関わり約5年働き、広く食材の奥深さ・面白さを知りました。
2014年に帰省した頃、故郷・三原が変化していることを知ります。
「道の駅みはら神明の里ができたり、市のマスコットキャラクター・やっさだるマンが登場したりして、三原の町が面白くなっているって感じたんです。海もあるし、魚もおいしいし、同級生もいるし、故郷で暮らすのもいいなぁと思ったら、また三原に帰りたくなって」。
2016年、森塚さんは再び三原へ帰郷。「これまでの経験を生かして、食で三原を盛り上げたいという気持ちでした。ちょうど自分が50周年で(笑)、50歳からでもチャレンジできるということも伝えたかったんです」。
人がやっていないことをやり続ける
三原に戻った森塚さんは、2018年に自身の会社「VEGENESS(べじねす)」を起業。「食を通じて笑顔と健康を創る」を理念に掲げ、数多くの食にまつわる仕事に携わってきました。現在も「体験型八百屋 COCOLA3」に加え、休耕田にサトウキビを植える「ざわわプロジェクト」の企画・運営などの活動をおこなっています。
「これからもっともっと地域でみんなが楽しくなることをやりたいですね。例えば、老舗和菓子店とコラボして小学生が考えた商品を作ってもらったり、佐木島と対岸の木原をSUP(サップ)で渡る観光事業を立ち上げたり……」と森塚さんの夢は膨らみます。
「大事なのは、新しい価値を作り、それを形にすること。そして、人がやっていないことをやり続けること。みうらじゅんさんの『「ない仕事」の作り方』という本を読んだ時、ジャンルは違うけど、これだ!って思ったんです」。
一見無理そうなことでも、森塚さんなら持ち前の行動力で形にしてくれそうな気がしますね。三原の町がますます楽しくなりそうです。