「三原は野菜がうまい!」地元食材から始まる大きな夢
この記事は、2019年2月時点での情報です
【食づくり】
株式会社よがんす白竜
高東浩昭(たかとう ひろあき)さん
2013年から道の駅「よがんす白竜」の再生企画に携わり、リニューアルを大成功させた高東さん。
「再生計画を立てたとき、正直これは大変だなと思いました。でも、ここまできたら自分がやるしかない!と。地域を元気にしたいという一心で、がむしゃらに進んできました」。
よがんすとは昔ながらのこの地域の方言で、「いいですね」という意味。地域の人が「いいですね!」と笑顔で言えるようなまちづくりをしたいという強い思いを胸に、今日も高東さんは店舗に立っています。
城下町のシンボル的古民家を活用。地元食材を使った料理でまちの活性化を。
白竜湖沿いを通る国道432号線に佇む、洋館風の建物。
それが、2013年リニューアルされた、道の駅「よがんす白竜」です。
縁あって駅長を任された高東さんは、「これまでにみたことない道の駅にしたい」というコンセプトを提案。
洋風建築の建物を生かし、地元の特産品とイタリアの厳選食材を組み合わせた、創作イタリアンを提供することを思いつきました。
営業後、毎日のように夜中まで生地作りの研究を行い、納得がいくものができるようになるまで約1年かかったそう。
こうして完成させた薪釜で焼き上げる本格ピザが話題を呼び、なんと3年で来場者が約10倍に!
今では、三原といえば必ずその名が上がる観光名所になりました。
そして、その実績を買われ、新たに三原市から依頼されたのが、城下町の風情を残す本町エリアのシンボル的存在「山脇邸」のリノベーション事業です。
「オープン前から注目を浴びていたため、一気にお客が押し寄せ、最初は思うようなサービスを提供できないこともありました」と高東さん。
人材育成に力を入れ、やっと自分の中の店舗イメージに近づいてきたのだとか。
「常に今の上をいくおいしさがあると思っているので、どうやったら味や技術がより向上するのか、日々考えていますね」。
素材本来のおいしさがダイレクトに伝わる一品には、高東さんの情熱的で味わい深い性格が滲み出ているようです。
イタリア野菜を自然栽培。三原の水の良質さが農業を営む上で強みに。
標高が高い大和町。芦田川の分水嶺もあり、人の営みに触れていない水で作物を育てていることが多いそうです。そのような環境下で育った野菜のおいしさに高東さんは魅力を感じています。
「地元の人には当たり前となっていますが、50年も前からこの地には鉱泉所があり、ミネラルウォーターが製造されるほど大和町は良質な鉱泉地なんです。ほかの地域に比べ水がきれいなのは、農業をする上で強みだと感じています」。
一昨年には、直営農場「よがんすファーム」を設園。イタリアから野菜の種を購入し、自然栽培で育てています。
「私の実家にも小さいながらも田んぼがあり、祖父が大切にしてきた農業を、自分の手で外圧に負けないような力強いものにしたいという気持ちがずっとありました」。
「自分たちで一から米作りに携わり、秋にはみんなで収穫をし、それを使ってリゾットやアランチーニといった料理を作って食べる。ワクワクするし、やる気が出ると思いませんか?」。
高東さんは子どものように瞳を輝かせながら語ってくれました。
自社一貫システムの構築を目指してまい進、若い力を応援し三原の次世代スター輩出も目標に。
「今後の事業プランは、生産から販売までを一貫して自社で行うSPA(製造小売業)化を取り入れること。例えば、ファッション業界でいうユニクロのように。農園で原材料を育て、レストランや加工食品部門に供給し販売する、その全てを“よがんすブランド”で統一するのが目標です」。
安心・安全をテーマにした食を提案しつつ、ゆくゆくは住宅や衣類など生活の全てをカバーし、さらには全国にも展開していく…。
現在高東さんはその足がかりとして、加工品考案に力を入れているそうです。
レストランのメニューの中でも「購入したい」という声が多い、大和レンコンを使用したミートソースなどが近い将来商品化される予定。
「アイデアはたくさんありますが、それを実現させるには若い力が必要。一人ひとりが意欲がありしっかりと意見を持っている、そんな若者たちを集めて組織を作り、私はサポート役としてそれを見守りたいと思っています」。
よがんすは、高東さんのビジョンを共有し共に歩んでくれる若者たちを待っています。