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本郷の町を盛り上げたい! 第二の人生は地域活動に貢献

【まちづくり】
本郷町観光協会
柳川朝郎(やながわ あさお)さん

「本郷町で知らない人はいない!?」と噂される柳川朝郎(やながわ あさお)さん。これまで携わってきた地域活動は12にも及びます。現在は本郷町観光協会の会長として、本郷地区の歴史や文化を大切に守りながら、町の魅力を伝えようと精力的に活動をしています。柳川さんが地域活動に取り組むようになったきっかけや、活動への思い、これから挑戦したいことなどをお聞きしました。


農業と会社員、二足のわらじで40年

柳川さんは、三原市糸崎生まれ。幼稚園の頃まで糸崎で暮らしていましたが、父親が戦死したため、昭和20年9月に母親や姉と一緒に父親の実家のある本郷町へと引っ越しをします。実家には、戦後の農地改革で残った2反(約2000平方メートル)の田園がありました。柳川さんは小学3年生の頃から牛を借り、一人でその田園を整地して米を作っていました。

「母は病弱でしたし、生きていくためには働くしかなかった。体が大きくて力もあり、たくましい子どもでしたよ。夕飯の支度は小学生の頃から私の担当でした」と苦労した当時を振り返ります。

農作業があるため、小学校も中学校もたびたび休まなくてはいけなかったそう

中学校を卒業した後、三菱重工業三原製作所に入社。技能者を養成する訓練校の10期生として、午前は勉強、午後は仕事をしながら知識や技術を習得しました。「少しでも多くお金を稼ぎたい」と残業や昼夜勤を積極的に行い、60歳で定年退職するまで一心不乱に働いた柳川さん。

真面目な働きぶりが会社から高く評価され、管理職を任されるまでになりました。55歳までは、農業をしながら三菱重工業で働くハードな生活を送っていたというから驚きです。


仲間とのふれあいや、周りの成長が活動のモチベーションに!

退職後はのんびりと過ごしていた柳川さんですが、61歳の時に知り合いに勧められ、本郷地区社会福祉協議会の理事に就任。以降、本郷町観光協会(理事、専務理事を経て現在は会長)、本郷公民館(館長)、本郷町文化協会(副会長、支部長)、沼田本郷夏祭り(事務局長を経て現在は実行委員長)など、数多くの地域活動に関わっていきます。

三菱重工業を退職するまで、地域活動には全く縁がなかったそうです。活動を始めたきっかけを尋ねると、「1年間、家に居て気づいたんですよ。ずっと家にいるのは窮屈だなって(笑)」と笑いながら話してくれました。

JR本郷駅から歩いてすぐにある、活動拠点の本郷町観光協会

61歳から83歳の現在までさまざまな活動に携わってきた柳川さん。その中でも思い出深いエピソードについて聞いてみると 「本郷公民館の館長をしていた時、市町村合併があり、寿大学(生涯学習教室)の合併問題が起こりました。

本郷キャンパスには約200名の生徒がいて、私にも『自宅から近いキャンパスを残して欲しい』との声がたくさん届いたんです。約1年かけて、三原市老人大学長や担当職員と繰り返し話し合い、本郷キャンパスを残すことができました。」と話してくれました。

柳川さんの活動は他にもたくさんあります。本郷町観光協会では、町内13ヵ所の観光名所に音声案内機を設置したり、積極的に町を盛り上げる活動を行っています。その中でも思い出深いのは、瀬戸内三原 築城450年事業で「隆景音頭」を作ったことだそうです。

「これまでに無かったものを生み出す喜びや、目標を達成した時の満足感はとても大きいです」と目を輝かせます。自分と同じ想いを持ち、前向きに取り組む仲間とのふれあいも、活動を続けるモチベーションになっているそうです。「周りが成長する姿を見るのがうれしいんです。いずれは次の世代にバトンタッチしないといけないですから。これまでは自分が走り過ぎていたので、今後はみんなの意見を形にしてあげたいですね」。令和天皇の即位を記念して作られた新高山城の御城印もスタッフの意見から生まれたものだそう。

現在、午前は観光協会の事務所で業務を行い、午後は奥様と二人で過ごされている柳川さん。「妻とは、ほどよい距離感で夫婦円満!」とのことです。

観光協会では本郷町にまつわるパンフレットや歴史について学べる巻物、御城印などを販売、設置している
新高山城の御城印。季節によってデザインが変わるのも素敵。雑誌などで取り上げられたことも


名水「沼田本郷の天然水」は元気の源!

戦国武将・小早川隆景の居城として知られる高山城跡と新高山城跡をはじめ、数多くの史跡や寺院が残る本郷町。奈良時代の古代山陽道、江戸時代の西国街道の二本の幹線道路が通り、城下町・宿場町として栄えました。

「本郷の魅力は、歴史が育んだ多くの遺産がたくさんあること。古くから人が集まり、文化が発展したこと。そして、自然豊かでのどかなこと」と柳川さん。好きな場所はたくさんあるそうですが、その中の一つ、「沼田本郷の天然水」へ案内していただきました。

「この天然水は、地下100メートルの岩盤から湧き出る喉ごしまろやかな軟水です。私の元気の源! 水割りやお湯割り用に汲んで帰り、愛飲しています」。目の前に沼田川が流れるこの場所、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉と四季折々の自然も楽しめるそうですよ。

新高山城跡の向いにある沼田本郷の天然水(料金:20リットル100円)。土・日曜など多い時には水を求める人で行列ができることもあるそう

最後に、これから挑戦したいことを聞くと、「恵美須神社を中心に、商店街を復活させ、人が集まる通りにしたい」と柳川さん。新たに駐車場も配置して、通りに以前の賑わいを取り戻したいと意気込みます。歴史や文化を大切に守りながらも、新しいことに挑戦する柳川さんと本郷町観光協会から目が離せません!


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