島でただ一人となる、平成生まれの若者が小佐木島の古民家からアートを発信中!
この記事は、2018年12月時点での情報です
【ものづくり】
小佐木島ポエック里海財団
寺川成美(てらかわ なるみ)さん
寺川成美さんは、「苔」をテーマにした作品などを描く、注目の日本画家。
2016年、小佐木島にやってきました。
島に流れる時間を気に入り、誰にも邪魔されず作品に向かう寺川さん。若き日本画家が、島に新しい可能性をもたらしています。
小佐木島 6人目の島人!
寺川成美さんは、2016年に小佐木島にやってきました。そして、島の人口は6人になりました。
現在、自然とアートで小佐木島の活性化をめざすポエック里海財団の学芸員として、リノベーションした古民家に住み、千住博さんの「Tide Water」などの作品を展示、管理しています。
朝、古民家を掃除し、訪れる人を待ちながら絵の構想を練り、作品の完成が近づくと食事も忘れて、一日中絵筆を持つことも。
すると島の皆さんが心配し、野菜を差し入れに来てくれます。
たまにデイサービスの場に呼ばれて、みんなと楽しく談笑することも。
三原と運命の赤い糸で結ばれた?
絵を描くことが好き。将来、絵で食べて行きたいと単位制の高校へ転入。絵は美大・芸大の予備校にて学び、京都造形芸術大学へ。
大学院に在籍中、山脇邸(現在は「カフェ・レストランよがんす」)の襖絵プロジェクトを知り、参加。
描いたのは、佛通寺の山の上にある地蔵堂・開山堂までの石段の遠景と木々や苔を再構成した作品でした。
これをきっかけに三原を知り、大学を卒業後、ひとり静かに絵を描く場所を探していた時、小佐木島を知りました。
人口はそのときわずか5人。
「ATMがあって送金ができればベストなんだけど。でも、自分のペースが守れる場所がここでした」
苔が大好きと言う寺川さん、作品を見るとひとつひとつ描かれている苔の質感に引き込まれます。
きっと気の遠くなるような丁寧な作業が必要なはず。
それができるのも、島に流れる緩やかな風と誰にも邪魔されない時間があるからです。
ひとりが好きな人も大丈夫!
植物を描くことも多い寺川さん、小佐木島には題材になる植物がたくさんあります。
日本画は写実的ではありませんが、悩むとやはりその場所に出かけじっくり観察するそうです。
カメラを持って島を歩いている女性がいたら寺川さんに間違いありません。
作品の評価も上々で、島の皆さんと協力して島内で展覧会も行いました。
いつか絵をきっかけに島の活性化も!?
しかし、「この島は大好き。でもひとりになりたくて来たので、来島者が増え島がにぎやかになっても、この島の”隠れ家”的な独特の雰囲気は残るといいなと思います」
寺川さんは正直に話してくれました。
でも、ひとりが好きな人が何人も暮らせる『容量』が小佐木島にはあります。
“ひとりが好きな人”がたくさんいる島もまた魅力的です。