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みんなの喜ぶ顔が創作の原動力。見ると思わず笑顔になる人形を作り続ける


この記事は、2019年2月取材時点での情報です


【ものづくり】
coneconeの森
森 美友(もり みゆき)さん 

三原市街から少し離れた住宅街に、陶土を使った可愛い人形を作り続ける人形作家さんがいます。

彼女の名は森美友さん。

その手から生み出される人形たちは、素朴でありながら見る者を引きつける不思議な魅力にあふれています。

「とにかく楽しく」を信条に創作活動をされている森さん。

現在は粘土教室の講師を務めながら、自身の作品作りの傍ら粘土造形教室カフェ「ツクリテ.」を営んでいます。

粘土造形教室カフェ「ツクリテ.」の外観


リアルな造形から一転、新たな魅力をもつ作風へ

「初めは、ただかわいい粘土人形を楽しんで作っていましたが、その頃に師事する先生も変わり、リアルな人形を作っていたんです」と森さんは以前の創作活動について振り返ります。

骨格や筋肉、関節のことまで勉強して、作り込んでいたそう

実際、昔の作品も拝見しましたが、人間の子どもが本当にそこにいるようでした。

「でもそんな作風に疲れてしまって。7年ほど前になりますが、師事していた人形作家の先生と方向性の違いを感じた時期だったので、スッパリとそれまでの作風を捨てたんです」。

それからは人の骨格やつくりなどを意識したリアルな表現からいろんなものを削ぎ落とし、ざっくりとした表現を目指しているという森さん。

しかし引き算してゆく作業は苦労の連続だったとか。

「簡単な造形でも、パッと見て魂がプルプルするような作品はできるはずなんです。見てくれた人がクスッと笑えたり、何かしら目に見えない心のお役に立てることを願い、作品を作っていきたいと思っています」。

制作過程の作品たち。愛らしいフォルムがたまらない


人形との出合いと、創作活動を支える両親の言葉

因島出身の森さんは、お父さんの仕事の都合もあり、高校卒業後に三原へ移り住まれた

幼いころから音楽や美術が好きだった森さん。

人形制作にたどり着くまでに、家業を手伝いながらいろんな習い事をしたと言います。

「でも何をしても、どこか物足りなさを感じていました。その頃、粘土人形教室と出合ったんです」。

リアルな人形の制作は人体を正確に写し取るのが難しく、それで逆にやりがいを感じたそう

「自分に自信が持てるものを何か1つは持っておきなさい」という両親の言葉もあり、人形制作にのめり込んでいきました。

そのご両親も今は他界されているそうです。

「まだ完全には喪失感から立ち直っていないんです。でも、みんなに喜んでもらえることをしなさいよ、という両親の言葉を胸に、自分で自分のお尻を叩いて、また創作活動を頑張ろうと思い始めたところなんです」。


いろんな人の楽しさがあふれる空間を

現在、森さんは創作活動の傍ら、自宅とカフェを兼ねた工房や、公民館などで粘土教室を開いています。

温かみのある木調の家具が印象的な室内

もちろん個展の計画もあり、森さんの作品を待っているたくさんのファンも方もいるそうです。

「お客さんの中には、この子を連れて帰りたい。と涙を流される方もいて。そんな時は本当に創作をやっていて良かったと思います」。

どこかに良いギャラリーがないか探していた時、「道の駅よがんす白竜」の高東社長を紹介していただき、高東さんのカフェレストランの2階をギャラリーとしてお借りすることなったそう

今回の個展は、陶や木の粘土、和紙などを使ってこれまでとはまた違った展示会になりそうなのだとか

 そして、今までに出会った全ての人に感謝しながら頑張っていきたいとたいと思います」と森さんは話します。

また森さんのカフェでは、いろんな手芸作家さんがワークショップを開いています。

「習うのは初めてという方、また教えるのは初めてという作家の方にも、相談してもらえたらと思います。お出しするコーヒー代だけいただけたら、自由に何をやってもらってもいいんです。色んな人がいろんなことを体験し、そこで新しい交流が生まれたら楽しいじゃないですか。そういうのを見るのが好きなんですよ」。

とにかく楽しいことをやっていきたいという森さんの思いは、その手から生み出された人形たちの優しい表情からもうかがえるようです。