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Vol11 八幡町歴史探訪会

今回、取材で訪ねた八幡町歴史探訪会は、1990年に八幡の歴史好きが集まって発足した会で、会員は67〜94歳。これまでに、地元の八幡町の事を調べて資料を調査・研究をしたり、他地区で文化財の保存の仕方などを勉強したりする活動をしてきました。
 
「実は、私が会長職を引き継いだのは令和5年3月からで、それまでは94歳の前会長、河原幸作(かわはらこうぞう)さんがが中心となって、八幡の歴史を調べていました。」と話すのは 現会長の植田さん。
 
「河原さんはアクティブな人で、最近も趣味のテニスを楽しんでいます。私が会に入ったのは5年前ですが、その頃も上下町へ歴史のガイド付きで11人ぐらいで行ったことがあります。県外では丸亀城や大崎下島の御手洗などにも行きましたね。」
とお話くださいました。

八幡町歴史探訪会 会長 植田崇文さん

なぜ八幡町で歴史探訪なのですか?
この地域は奈良・平安時代に都から太宰府まで古代山陽道が通っていたとされ、八幡町も交通の要所として栄えていたようです。
町内にある御調八幡宮は奈良時代からある歴史の古い八幡宮で、多くの文化財を収蔵しています。また、室町時代に九州探題をしていた渋川氏が居を構えていた山城跡や古寺など、近くに歴史的資源が多かったので、興味がある人も多く、調べに行きやすかったのだそう。

このあたりの山は、植田さんも子どもの頃から親しんでいて、「近所に住んでいる長老が、『この山の"どこそこ"には〇〇がある』という話を『ほんまかのう』と友達と笑いながら山に入って探検するのが楽しかった。」と語ります。

歴史探訪会で小童山城跡にも行ったこともありました。「皆で井戸を探そう、といってスコップを持って近くを掘ってみたりしたけど、見つからなかったこともありました。お皿(かわらけ)が積み重ねてある場所があり、『あそこは炊事場だったんじゃない?』と皆で見て回るのが楽しかったですね。調べたことをまとめて、こんな資料も作りました。」


見せてもらった『八幡町史跡名勝案内』には古代山陽道に通じる御調八幡宮、陰能ヶ原古戦場や室町時代に九州探題としてこのあたりに務めていた渋川氏ゆかりの蓮台寺、小童山城跡、東海寺跡などの資料がまとめられています。
 「コロナ禍の数年はあまり活動ができませんでしたが、町内会から八幡の歴史をまちづくりに活かせないか?という話があったんです。」
 そこで出来上がったのが令和2年に発行した「御調八幡のトレッキング」という冊子です。

御調八幡(みつきやはた)のトレッキングとは?

御調八幡のトレッキングは八幡にある御調八幡宮から町内の龍王山や、御調坂(みとさか)、小童城に向かう5つの登山コースと、その道中にある史跡を紹介したもので、町内会と、三原山の会にも協力してもらい作ることが出来ました。
 
冊子はA5版8ページで作っていて、このコースの紹介動画もYouTubeで公開しているそうで、動画では実際の風景と共に登山道と史跡が紹介されています。
YouTubeで公開している動画はこちら → https://youtu.be/tiEniJ2e7ns

令和4年3月には登山道の整備と標識の設置をする御調八幡のトレッキングを開催。町内の有志と三原山の会、歴史探訪会の総勢30人以上が参加し、登山道の清掃や標識の設置作業をしたそうです。

「チェーンソーや、草刈り機をかついであがる人もいて、大変だったとは思いますが、『町づくりになる!』という気持ちでみんなが参加してくれました。」
 


令和5年3月には小童城の案内板の標識を立てました。
登山道に看板をつけるにあたり、了承を得るため山の持ち主を探すのが大変でした。連絡をした持ち主は皆さん、快く許可してくれ、
「持ち主の中には自分の山に行ってみたいという人もいましたよ。」
なぜ?と聞くと、昔、このあたりは松茸がとれたと聞いたことがあるのだとか。

「昔は山へ"芝刈り"に行く人も多く、手入れを済ませたかどうかは山へ行かなくても眺めるだけで一目瞭然でした。放っておくと恥ずかしいので、よく手入れをされていたから、もしかしたら松茸もあったかもしれませんね。和紙の原料になる雁皮(がんび)や、しきびやウラジロを取りに行く人もいて、子供の頃は友だちと取ってきた雁皮を引き取ってもらって小遣いを貰っていたものです。」と話してくれました。このあたりの人たちにとって、山はとても身近な存在だったのですね。
 

今後の目標は?
これまで、歴史探訪会の活動には、多くの人の協力があったそうです。
地域で話を聞くと、コロナでとんどや盆踊りがなくなって、花踊り(八幡の雨乞いの踊り)も長くやってないので復活させたい!など、色んな声が上がっています。
 出来ることは少ないかもしれませんが、これからも、地元の人たちと一緒に八幡町の歴史を伝えていきたいですし、そのことが、少しでも八幡町のまちづくりにつながれば幸いです。

この記事を担当しているママライターの紹介はこちらから↓↓↓
https://note.com/miharacity/n/n77f4f0543c64/edit