どこか懐かしさ漂う滞在施設『鷺邸(さぎてい)』。佐木島の魅力を発信しながら、人と人が出会う場に
この記事は、2019年2月取材時点での情報です
【まちづくり】
鷺邸
白須克子(しらす かつこ)さん
空き家となった実家の活用法を考えていた白須克子(しらす かつこ)さん。三原観光協会の下で活動する『鷺島みかんじまプロジェクト』から提案を受け滞在施設を始めました。
お客様の「また来たい」という声に励まされ運営は3年目に。
島外からの滞在者だけでなく、島の人々のお稽古ごとスペースの提供やイベント開催なども行い、人と人が繋がる場をつくりだしています。
『鷺島みかんじまプロジェクト』の声掛けから始まった『鷺邸』
まるでおばあちゃんの家に遊びに来たような気持ちにさせてくれる『鷺邸』は、白須さんが営む滞在施設です。
「もともとここは実家でね、誰も住まなくなったので空き家バンクに登録したんです」。
思い入れのある実家を活用したいけれど方法がわからない。
そんな時声をかけてくれたのが、三原観光協会主導のもとに活動している『鷺島みかんじまプロジェクト』のメンバーでした。
このプロジェクトは、島の特産品であるミカンを通じて、商品開発、イベント、ミカン畑復活事業などを行っていました。
交流拠点となるようなゲストハウスにしてはどうかという提案に、白須さんは驚きつつもとても誇らしかったそうです。
「プロジェクトのメンバーは島外の人が多くて。その人たちが佐木島の良さを認めてくれ、この家を生かしていこうと言ってくれたことがすごく嬉しかったんです」。
お客様の感想が励みに。人が集う場として多彩に活用
初めは戸惑いながら運営していた白須さんですが、「ずっとここでゆっくりしたい」というようなお客様の声にとても励まされたと言います。
夏は徒歩で行くことができる海水浴や庭で楽しむBBQ、冬になると地元の農家の人と連携したミカン狩りが楽しめます。
また、かつては料理教室に通っていたという白須さんの手料理も名物となっています。
「お友達に手伝ってもらいながらの運営なので少人数しか対応できませんが、ここに来てくれた方が佐木島を好きになってくれたらいいなぁと思います」。
そのほか、毎週火曜のみのランチ営業、会合やお稽古ごとができるスペースとしての活用なども行い、鷺邸を中心とした島内外の人の輪はますます広がりを見せています。
新たな人との出会いや新プロジェクトと共に島を盛り上げたい
以前は3000人ほどいた島民も今では700人程度で、小学校も1校に。
「運動会などの学校行事は島民も参加し地域で盛り上げる雰囲気があります。そのアットホームさを求めてか、最近では島外から通うお子さんや島に移住する人もいるんですよ」。
そんな新たな人たちとの出会いの場になるよう、『鷺邸』ではさまざまなイベントも企画します。
「最近盛り上がったのは、親子での参加が多かったお餅つき。都会にあるような娯楽はここにはないけれど、人と自然がつくりだす温かな時間があるんです」。
島では今、『鷺島みかんじまプロジェクト』の一環で『島たまごプロジェクト』が進んでいます。
島の柑橘を餌として与えた鶏『瀬戸内柑太郎(せとうちかんたろう)』を育て、その卵で新しい郷土料理を作ろうとされているそう。
「いずれはうちでも柑太郎の卵料理を出したり、卵拾い体験ができたらいいなと思っています」。
佐木島の魅力を発信し続ける白須さんの存在に、今後ますます注目が集まりそうです。