海を見渡す工房で、のんびり、ゆっくり作品作り。子ども達にもモノ作りの楽しさを広めたい
この記事は、2019年2月取材時点での情報です
【ものづくり】
陶工房 PolePole
安田あすか(やすだ あすか)さん
目の前に見えるのは瀬戸内海に浮かぶ佐木島。赤いドアがかわいい安田さんの工房兼ギャラリーは、海や島を見渡す素敵な場所にあります。
20代にアメリカで陶芸を学び地元である三原へと戻りました。その後、結婚、出産を経て、スワヒリ語で「のんびり、ゆっくり」という意味を持つPolePoleという陶工房で陶芸活動をしています。
陶芸との出会いはアメリカ。技術とろくろを携えて三原へ帰る
音楽を学ぶために21歳で渡米した安田さん。
ハリウッドで勉強する中で、音楽的にも言語的にも壁を感じて悩んでいた頃、遊びに行ったアメリカ人の友人の家で、素敵な陶器の作品が安田さんの目にとまりました。
友人が作ったというクラフト感のあるバターケースのようなその作品に「これだ!」と衝撃を受け、心機一転、陶芸の勉強へとシフトチェンジをしました。
日本に帰ってきたのが2009年、29歳のとき。
陶器の産地に修行に行くつもりで益子焼の市に出向いたものの、「修行に出るより自分で作ったほうがいいよ」と助言され、三原に帰ってきました。
作陶活動は、約1年間居酒屋でアルバイトをしながら同時に続けていましたが、その後は少しずつ作陶活動のみを行なうようになり、2017年8月、ご主人の実家のある須波の海辺に工房・ギャラリーを新設し育児をしながら創作活動を行なっています。
自分の陶芸スタイルを支えてくれたのは、地元三原の人たち
「アメリカに旅立ったときは『誰の力も借りずに自分で切り開くんだ』って意気込んでいましたが、三原に帰って感じたのは人のつながりの大切さ。
アルバイト先で知り合った人に私の作品を広めてもらったり、お店で個展を開かせてもらったりしました」と安田さん。
安田さんの作る作品はどこか民俗調で、幾何学的な模様が見られます。これはアメリカの影響を受けながら日本の民芸や文様のデザインの良さを表現したいという、安田さんならではの思いが込められた作風です。
交流の場として発展して欲しい海辺のギャラリー
「自分が使うものを自分で作り、それを大切に使っていくことを多くの子ども達に教えたい」と、陶芸教室では子どもを対象にしたコースもあります。
カフェのような外観も「PolePole」という名も、そうしたコンセプトから生まれました。
そして陶芸というと敷居の高さを取り払い、〝土を使ってモノを作る〟という気軽さを感じて欲しいのだとか。
「須波のこの場所が三原の内外の人の交流の場になればいいし、私もそのお役に立つことができれば嬉しいですね」。
陶工房polepoleでは今日も安田さんの思いがこめられた作品たちが、訪れる人を迎えています。