佐木島に賑わいを作りたい。島の未来を創り出していくトマト農場
この記事は、2019年2月取材時点での情報です
【食づくり】
株式会社広島アグリネットファーム
越智洋三(おち ようぞう)さん
2017年、佐木島に誕生したスーパーマーケット『フレスタ』が運営するトマト農場。高齢化が進む島内において、新たな働き場となっています。
トマトを使った加工品の生産も進んでおり、島の活性化に繋がる様々な企画が進んでいます。
若手社員と共に佐木島へ。地域活性にも繋がるトマト農場を運営
大手スーパー『フレスタ』に勤務していた越智さん。定年を迎える年に、佐木島トマト農場の仕事を打診されたと言います。
「安全で美味しいトマトを自社で作りたい。また、将来的には観光農園のような位置づけで佐木島の地域活性と雇用に貢献したい」。
熱く語る社長の話に共感し農場での仕事を快諾しました。「新しいことをやってみたいという気持ちもあったし、物流部門での経験が生かせるんじゃないかと思いました」。
越智さん含め、フレスタから農場の仕事を任されたのは3名
越智さん以外の2人は20代という若さで、地域に馴染めるか心配していたそうです。
「けれど逆に、その若さが良かったのかもしれません。休みの日はサイクリングをしたり釣りに行ったりと、気ままに島生活を楽しんでいます」。
高齢化が進む島内で新たな雇用を生んだ農業ビジネス
トマト農場の新たなビジネスは、島民にも歓迎されました。
高齢化が進む同地域では自営業を除き働く場所が数えるほどしかありません。
「就職説明会を開いた際、予想以上に高齢の方が多くて。急きょ75歳ぐらいまで就業可に変更しました」。
就業年齢が上がったことで希望者が増えたのと同時に、「リタイア後に農業をやってみたいと考えていたけれど、一人で始めるのは敷居が高くて。仕事として携わることができて嬉しい」という喜びの声も届いたそうです。
農場では溶液栽培を採用しているため、天候に関係なく安定した収穫が見込めます。
佐木島に誕生したトマト農場は、島に働く場と生きがいを生み出しました。
観光農場や加工品生産。観光資源とも絡めた島の未来を模索していきたい
「まずは現状のトマト栽培を着実なものにすること。落ち着いたら土耕栽培にも着手したいです」。
当初の計画通り、今後は収穫ができる体験農場や採れた作物を楽しめるBBQ設備、宿泊可能なグランピング施設などを検討しているそうです。
「海に沈む夕日や春の千本桜など、豊かな観光資源もある。そういったものと絡めて島を活性化していきたいですね」。
今、農場ではフレッシュトマトの出荷だけでなく、ドレッシングなどの加工品も手がけています。
割れができて出荷できないトマトを他にも活用できないかと考えていたところ、島内でジャム工房を営む人と繋がることができました。
「今はまだ試作段階ですが、トマトのジャムを実験的に作っています。いずれはフレッシュトマトにドレッシング、フルーティーなジャムをセットにしたギフトも作ってみたいですね」。
多くの可能性を秘めた農場は、これからの佐木島に新たな道を拓いてくれるのかもしれません。