Vol6  釜で沸かした湯を奉納し、無病息災を祈る行事 沼田神社 湯立て祭

沼田神社は859年創建の『正一位 渟田宮』の名を冠する歴史の古い神社です。石碑には「むか~しむかし、真人(まびと)という人が疫病(えきびょう)の流行を嘆(なげ)いていると、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が現れて「ほこらを建てて自分をまつれば、疫病や災難から人々を守りましょう」と言って立ち去った」と、創建の話として刻まれています。

湯立て祭は、地元で『祇園さん』と呼ばれて親しまれている沼田神社のお祭りで、祭りには風・水・火の意味がある3つの釜が使われます。沼田神社の資料には『水は清浄(せいじょう)に見へても火の神と風の力で燃やして最も清浄にたぎる時、壺に汲み神前に供えし 人の真心を供へて一年中の大願成就をする』とあり、これは「人間に大切な要素の根源は風、水、火の3つであり、それを清浄にし、上手に使い感謝する心を神に供えることが大切」ということから、風、水、火の3つの釜を使うのだとか。

 「タン、タタン、タタン」と太鼓の音が静かに鳴り続ける中、まずは御神火(ごじんか)を移して風・水・火の意味がある釜に火をかけ、たっぷりの湯を沸かします。釜の蓋を開けるともくもくと湯気が立ち上がり、煮えたぎった様子がよく伝わります。その湯気に包まれる様に御神刀を掲げて祓いの儀を行ったあと、風・水・火、それぞれの釜の湯を神前に供えます。その後、釜の湯を笹の葉につけ、湯を参拝者にふりかけます。この湯しぶきを浴びると無病息災に過ごせるとされ、釜の湯を持ち帰って飲むと、1年は風邪をひかないと言われています。

祭りが終わると釜の湯で入れたお茶やコーヒーを飲む人、ポットに詰めて持ち帰る人などでワイワイと賑わい、近所のいこいの場にもなっています。祭りには地元の人だけでなく、市外からカメラを持って見学に来る人もいるそうです。「これからもこの行事を継承していきたい」と、地元の子どもたちを呼んで、湯立て祭でお菓子や抹茶のふるまいなどもしているそうです。 氏子の皆さんは「昔はここでお芝居やちんどんやなんかもあったよね」「映画を見たこともあったなぁ」と語られ、地域の思い出がつまった場所でもあります。

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