見出し画像

たくさんの人の交流の場となり、「楽しさ」の実が生る三原のブドウ園を目指して 


この記事は、2019年2月取材時点での情報です


【食づくり】
木下ファーム 三原ぶどう園
猪上淳(いのかみ じゅん)さん

県下のブドウといえば福山が有名ですが、ここ三原もブドウの産地であり、頑張っているブドウ農家さんもたくさんいらっしゃいます。

今回お話をうかがった猪上淳さんもその1人。

これからオープンする予定の自分の農園以外にも、建設会社が運営するブドウ園の管理人も兼任されています。

それらの農園を使って面白いことができないか、猪上さんはあれこれと思案を重ねています。



明るく楽しく、無理のないブドウ作り


入口にある大きな木製看板が目印の園

大和町にある「木下ファーム三原ぶどう園」は、広島市内の建設会社が運営する農園です。

猪上さんはそこの管理を任されています。「まだオープンしていませんが、僕も自分の農園を近くに持っていて、そこでブドウを作っているんです。

建設会社さんがここにブドウ園を開く際、ブドウ栽培の経験者を探しているということでお声を掛けていただきまして、自分の農園と兼業という形でこちらの圃場の管理と栽培を引き受けることになったんです」。

現在、木下ファーム三原ぶどう園は、猪上さんと9人のパートさんで切り盛りしている

「地元の子育て世代の女性や、年配の方に働いてもらっています。自分の空いた時間に、無理せず働いてもらえれば、と思っているんです」。

取材の日は剪定(せんてい)作業中でしたが、猪上さんとパートさんは冗談を言いながら楽しそうに作業をされていて、猪上さんの人柄と職場の和やかな雰囲気がうかがえました。


三原へ、そしてブドウとの出合い

似島で育った猪上さんは、アジア・アフリカの農業指導者を育成する学校のボランティアに参加したことで農業に目覚め、その後、本格的に農業研修を受けたそうです。

自分が育った瀬戸内海に近い場所で農業を始める土地を探していた時、有機農法に取り組みながら若い農家さんを積極的に受け入れている坂本重夫さんと出会います。

「僕もその方に移住先を紹介していただいて、三原にやってくることになったんです」。

移住したところは高坂町の馬井谷(うまいだに)。

「近くにブドウ栽培の盛んな地区があり、誘われてお手伝いをするようになりました。ちょうど結婚して子どももできた時期でした。

農業で家族を養える方法を……と考えた時、収益のいいブドウ栽培をやってみようと思い立ったんです」。

そして、自分のブドウ農園を開くため、大和町にある芝を生産されていた農地の一部を借り受け、一から開墾を行っています


豪雨災害のため計画は遅れたが、2022年には農園をオープンする予定

「でもそれまでの収入をどうしようかと思っていたところ、県の建設会社さんに声をかけていただいたんです」。

それ以来、自分の農園と木下ファーム、両方の管理を掛け持ちしている猪上さんなのです。



未来への想いと尽きぬ夢


1ヘクタールの敷地面積を持つ農園

猪上さんが管理を任されている「木下ファーム三原ぶどう園」では約1400本のブドウの木があり、藤稔(ふじみのり)や安芸クイーン、ピオーネに高妻といった品種が栽培されています。

「収穫の時期には観光農園になります。また婚活イベントなども開いて、ここから新しいにぎわいを発信できたら、と思っています」。

農園で獲れたブドウで作った加工品


さらに猪上さんは、3年後にオープン予定の自身のブドウ園での計画も語ってくれました。

「自分の農園には元々管理棟として使われていた建物があるので、宿泊施設やカフェにリノベーションしたいと思っています。そこを利用して、観光農園としてだけでなく、農業体験の場にもしていきたいですね。草食系男子を鍛えるサバイバル体験なんて企画ができたら、面白いと思いませんか?」と猪上さんは笑みを浮かべます。

「農園にたくさんの人に来ていただいて、楽しんでもらいたいんです」。

人が好きで、いろんな人と交流したいという猪上さん。

子どものように目を輝かせる猪上さんは、自身の農園のオープンという実を付けようとしています。